Point.1 リスクを知る
Point.2 対策を考える
 
 
Point.1 リスクを知る
 地震に強い家を建てようとしたとき、先ずはじめに建設地のリスクを知ることが大切です。 リスクとは、地震が起きたときの予想震度や、地盤の強さ・弱さだったり液状化の危険性があるかどうかなどです。
 
Action.1 ハザードマップを調べる/予想震度
もし南海トラフ巨大地震が起きたら、家を建てようとしている場所の予想震度は?
建設地がある自治体に行けば、予想震度が分かる地震ハザードマップがあります。また、インターネットでダウンロードすることもできます。
 
 
ご覧の通り、同じ自治体であっても予想震度は違います。その理由は、場所によって地盤の特性が違うからです。
 
 
Action.2 ハザードマップを調べる/液状化
液状化とは、水分を含んだ砂地盤が地震の震動で液体状になることです。
家が傾いたり、地中に埋まった下水管が地上に浮き上がったりします。液状化の危険区域も、自治体のハザードマップで知ることができます。
 
 
 
Action.3 地盤を調べる/地盤調査
 地盤には、強い地盤や弱い地盤があります。同じ分譲地でも、盛土した地盤と山を削った地盤では強度が大きく違います。地盤の特性を調べるのが地盤調査です。大きなビルを建てるときによく見かけるのはボーリング調査ですが、多額の費用がかかります。住宅を建てるときは、スウェーデン式サンディング試験と呼ばれる地盤調査が採用されることが多くなりました。費用も5万円くらいで、地盤の特性を調べることができます。
 
 
 
Part.2 対策を考える
地盤のリスクがわかったら、次に対策を考えます。
 
Action.1 予想震度への対策
もし、家を建てようとする土地が震度6や7と予想される危険区域だったら、どういう対策が必用でしょうか?
答えは、「建築基準法に定められた構造基準以上とする」です。
わが国では大地震が起きるたびに建築基準法の構造基準が強化されてきました。なかでも大きく変わったのが1981年の改正で、新耐震基準と呼ばれています。改正後に発生した阪神・淡路大震災で、新耐震基準が有効であると分かり今も適用されています。
しかし、2005年に姉歯事件と呼ばれる構造計算書偽造事件が発覚しました。
嘘の構造計算書であったにもかかわらず確認申請機関が見抜くことができず、マンションやホテルが建設されてしまいました。
姉歯事件はとても悪質な犯罪ですが、確認申請の名義貸しも犯罪です。建築士の資格をもたない施工者に家づくりを依頼し、施工者が建築士に名義を借りて確認申請を取得する。今でも、このような犯罪行為が行われているようです。
地震に強い家づくりは、「建築基準法に定められた構造基準以上とする」こと。
信頼ができる建築士に依頼するのが、地震に強い家づくりの第一歩です。
 
  
Action.2 液状化への対策
もし、建設地が液状化の危険区域だとわかったらどうすればいいでしょうか?
先ずは、液状化とはどういう現象なのかを見てみましょう。
 
 
次に、東京都のホームページに掲載されている対策方法をご覧ください。
 
 
 
 
 
大地震が起きるたびに各地で液状化による大きな被害が発生し、今ではさまざまな工法を選ぶことができるようになりました。
施工性や費用を比べて、もっとも適した工法を建築士に提案してもらいましょう。
 
 
Action.3 地盤への対策
一般的に多い対策が必用な地盤は、軟弱地盤と傾斜地です。
 
軟弱地盤への対策
軟弱地盤の場合は、軟弱な地盤に凝固剤を混ぜて固める地盤改良工法と固い地盤まで杭を打つ杭打工法が一般的に行われます。
 
 
 
傾斜地への対策
傾斜地の場合は、平坦地にするために斜面を削って土を盛る盛土部分と、元の固い地盤部分があります。盛土部分は強度が弱いため、家が沈下したり傾いてしまったりすることがあります。一般的に行われるのは固い地盤まで杭打を行う杭打工法です。
 
 
 
よくある質問
 
Q:地震に強い工法・構造はなんですか?
家の工法・構造には、木造や鉄筋コンクリート造、鉄骨造のほかにさまざまなプレハブ工法などがあります。さて、どの工法・構造が地震に強いのでしょうか?
 
A:どの工法・構造も同じです。
1キログラムの木もコンクリートも鉄も同じ重さですが、同じように工法・構造が違っても建築基準法に定められた強度の家はどれも同じ性能です。
ただし、液状化危険区域や軟弱地盤に家を建てるときは、家の重さが軽いほうが基礎の補強工事費用が少なくてすみます。
工法・構造を選ぶときは、地震対策はもちろん施工性やかかる費用、地域の特性などを考えて建築士に提案してもらいましょう。
 
木造の特徴については「コラム/木造は地震に弱い?」をご覧ください。